昔から欲しいものは譲らなかった。
そのためになら努力したし、3つ上のエースにだって、勝負を挑んだ。
思い通りに勝てることなんて、ほとんど・・・というより、全く無かったけど、
それでも。
叶うために、向き直らないと。挑戦しないとだめだ。
それが簡単に手に入るか入らないか。
当たってみなくちゃわからない。
−一目見て、気に入った。
静かに気力を貯える獣。
−欲しいと思った。
ギラリと繋がれているにもかかわらず、その獰猛に光る瞳。
不用意に近づけば、喉元を喰い千切られそうな殺気。
−ゾクゾクした。
手に入れたら。
コイツの瞳に自分はどう映るのだろう・・・?
ふいに声がして、女の子がソイツに近づいていった。
どう喰いつくのか見たかったのに、ソイツの瞳が一瞬緩み、柔らかく光る。
口調はキツイが穏やかな色。
・・・なんだか少しムカついた。
また声がして、変なのが出てきた。
一瞬にして色が変わる。
肉食獣の獲物を見る目つき・・・。
繋いでいなければ、きっと、アイツの喉元は喰い千切られて、獣は血に染まるだろう。
見てみたい。その様を。
近づいて覗き込む。血色の瞳に映る自分の顔。
まるで相手にしてない目つき。
取るに足らないといったように、獲物としても見てもらえていない。
・・・何故だかわかるのだが、なんだか許せない。
絶対に手に入れて見せる。
認めさせて落としたい。
ワンピースに比べりゃ簡単なことだ。
間近であの瞳を見ていたい・・・。
まずは。
獣を解き放とう!
−完−
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