出会い


初めは。
単なるガキだと思っていた。


ひょっこりと、呑気に珍獣でも見るかのように、こっちを見る ガキを睨み付ける。
だが、こんなところで気力の無駄使いをしてもショウガナイと思い直した。
気力は残しておかねば。
筋力・体力ともに、1ヶ月飲まず食わずでは衰えてしまう。
縄がほどかれても。
次の瞬間、どうなるかわからない。
約束は、そこまでだからだ。
縄をほどかれたら、そこで約束が切れる。
ヤツらが大人しく俺を帰すとは思えない。
だから、気力は残しておかねば。
戦えるだけの気力を。
・・・もう一匹ガキが来た。
コイツのせいで、磔になってるというのに、なんでちょろちょろしてんだ。
そうは思ったが。
つい気が緩んでしまう。
手元の。
頑張って作った跡が見えるおにぎりを見てしまったから。
ふと。
目を上げると、麦わらの男が睨んでいるのが見えた。
なんだ?アイツ。
少し気になる。
そう思っていると、元凶であるバカがやってきた。
ヘラヘラ笑う顔を見てると、嫌悪感が湧き起こる。
斬り殺しておけばよかった。
そうしなかったのは、自分の刀をこんな腐ったヤツの血で汚したくなかったから。
盗られた刀を思って、歯を食いしばる。
ガキが一匹投げられた。
ハッとしたが、どうやら無事だったらしい。
バカが去ったあと近づいてきた麦わらの男をジッと見る。
値踏みするような視線に、ムカっと来る。
だが、妙に惹かれた。
理由はすぐにわかった。

・・・強いからだ。
選択の余地が無かったとはいえ、弱い男についていく気など毛頭無い。
きっとここでコイツは殺されるから、すぐに自由になれると思った。
だが、違った。
強い。
すべてが。
ひどく、悔しくなる。
何故だか分からないが、悔しい・・・いや。少し違うか。
仲間など作らないと思っていたのに。
こうも、すんなりとコイツのことが分かる自分がイヤなのだ。
会って間も無い自分を、信用しきっているコイツがムカツク。
そして、それを心地いいと思う自分にも。
すでにキャプテンとして認めている自分がなんだかわからなくなる。
出会うべくして・・・・出会ったというのだろうか。


やばい。腹が減ってきた。
考えるのは・・・

すでに受け入れているのを認めている自分が居るのだから。
考えてもムダなこと。
そうは思ってゾロは目を閉じた。


−完−





【独り言】
ゾロのルフィの印象・・・と思ったのですが。
なんだ、コレ。UPする気か?
でも書いたのでUPします。ごめんなさい・・・
2001.4.24.ten.



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