Go for it!


傷口が開いた。
全身がバラバラになりそうな激痛が走っているのに。
頭は冷静だった。
もしかしたら、死ぬ寸前というのはそんなものなのかもしれない。
そんなことを考えながら、アーロンを見据えてニヤリと笑った。
背後から、ルフィの雄たけびがあがったから。
「ったく。おせぇよ。バカ。」
「ゾロぉっー。」
能天気な声にホッとしたのもつかの間。
ぐいっと襟首を捕まれて、いやぁな予感に顔が引き攣った。
「お、おい、ルフィ、まさか・・・」
「交代だっ!」
死ぬ。
マジで死ぬっ。
投げ飛ばされて、ググッとかかってくる負荷に、痛み以上に恐怖感が 襲ってくる。
このバカ何考えてんだっ。
だが、ルフィの真横を通り過ぎるときに・・・
「ゾロ?」
泣きそうな、ひどく心配げな声に、海からあがったルフィが、 海に落ちて死に掛けていた事実より、 自分のことをまっさきに考えていたことに、ひどく心がかき乱された。
「ルフィ・・・。」
かなりの高さから海に落ちると、地面に落ちるように衝撃がある。
受け身をとってもかなりの衝撃に、傷口からまた血が溢れ出した。
海にいるのに、まわりが赤い。
「ぷはぁっ。」
動かない体を必死で動かして。
見え隠れしているアーロンパーク目指して必死で泳いだ。
死ぬわけには行かない。
こんなところでは死ねない。
“約束”もあるし、“野望”もある。
なにより。
ルフィにあんな顔させたくない。
ずっとあんな顔させたくない。
ルフィの負荷になるような、そんな死に方だけは、絶対にできない。
「・・・ったく。アイツはたいしたタマだよ。」
すでに、ルフィの歯車の一部に組み込まれている。
あがらうだけ・・・無駄なのだろうか。
ルフィの。
海賊王になるためのプロセスに、自分が組み込まれているとしたら?
ルフィのすべてを受け止めていかなければいけないのだろうか・・・。
その想いもすべて?
ルフィの未来を影させるモノにだけはなりたくない。
だけど、そう簡単には納得できない。
「・・・死んだら、殺してやる。」
呟いたら泣きたくなった。
外壁によじ登って、ぐったりと大の字に寝そべった。
頭に巻いていたバンダナを外す。
いろんなことが走馬灯のようによぎって。
考える事を放棄した。
眠気が襲ってくる。
起きたらあとは考えよう。
ルフィのことも・・・
目が覚めたとき。
生きているか、死んでいるか。
覚めればわかるから・・・。
だから、ルフィ。
死ぬな?


−完−





【独り言】
ちょこっと進展させてみました。
ゾロの気持ち。
なんか、月一更新で、自分が情けなくなってきました。
Go for it!=がんばって行こう!!
2001.7.1.ten.



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