太陽の下で


グランドラインに入るまでに。
かなりの労力を費やした。
入るまでにかなりの船が潰れるのも肯ける。
「やれやれだな。」
船を修理するウソップを見ながら、ゾロは眼を閉じた。
緊張の連続だったまだ治りきらない傷を抱える身体は、 思った以上に疲労を訴えている。
少しでも眠って、体調を整えたかった。
何が起こるかわからない海。
もう、ここはグランドラインなのだから。


どれだけウトウトとしていただろう。
ふと気付くと、顔中・・・いや。
全身ペンキまみれのルフィに覗き込まれていた。
「・・・・んだよ?」
慌てたように離れるルフィに、ゾロは軽く伸びをした。
「ルフィ、ラブーンに何かしてたんじゃねえのか?」
「んん、終った。さすがに、このカッコじゃ、ナミに怒られるから着替え に来たんだ。」
「・・・風呂入れよ?落ちねえぞ。それ。」
「ええっ。そうなのか?? って、そっか。そうだよな。落ちたら描いた 意味無くなるもんな。」
自分の姿を眺めて、ルフィが苦笑いした。
「・・・・って、おまえ。俺に手をついたな?」
「い、いや、よく寝てるなーと思って・・・。なんでわかった?」
べったりとついた白いシャツの上の手の平。
無言で指さすと、ルフィはバツが悪そうに笑った。
「ま、いいじゃん。俺の印。」
「あのなぁ・・・。ま、いい。おまえも着替えに下りるんだろ?」
「ああ。」
二人で船室に降りて。
服を取り出そうとしたとたん、 足をかけられ、ソファに思わずゾロは倒れ込んだ。
「おい、よくみて下りろ・・・って、ルフィ?」
触れる唇。
真剣なルフィの瞳に、ゾロは息を呑んだ。
「もう、ここは。グランドラインなんだよな。 何が起こるかわからねえ海なんだ。」
「ああ。そうだな。」
視線を外さねば。
そう思いながら、ゾロは視線を外せなかった。
「俺、俺はゾロが好きだ。」
「ちょっ・・・ルフィ。」
身体をずらして逃げようとして、ルフィの腕に押し留められる。
「逃げるな、ゾロ。嫌ならはっきり言ってくれていいよ。」
ゾロはルフィから視線を外した。
ゆるゆると息を吐く。
「・・・イヤ・・・じゃねえ。」
「それって、好きになってくれる可能性があるってことか?」
「そんなのわかんねえ。わかんねえが・・・」
ほとんど触れそうなルフィの唇に。
ゾロは目を閉じて触れていた。
「・・・しししし。そっか。うん、それでもいいよ。 俺はゾロが好きだから。」
「何一人で納得してんだよ。」
なんだか、いてもたってもいられないくらい、恥ずかしくなってゾロは今度こそ ルフィの腕から逃げようと力を込めてルフィを押し戻した。
「・・・こういうことしたいんだけど・・・ダメか?」
逆に腕を取られ、もっと密着してくるルフィに、ゾロは目を丸くした。
「あ、あのなぁっ。」
「・・・ダメ?」
「・・・・・・っ。」
ルフィの手の動きに、息があがってくる。
心はもう許しているのだから。
本気で跳ね除けることなど、もう出来ない。
諦めて、ゾロは身体の力を抜いた。
「・・・ゾロ?」
「好きにしろよ。」
「ゾロ、大好きっ。」
嬉しげに笑うルフィの、背中に手を回してゾロは小さくため息を吐いた。
どこをどう間違ってしまったのか。
それとも、こうなる運命だったのか。
出会ったときから。
もう、逃げられない運命だとしたら。
「最後まで付き合うしかねえよな。」
小さな呟きは。
忙しない息に紛れて消えた。


もともと疲労ギリギリだった体力が、慣れないルフィとのコトのせいで、 ほとんど冬眠のように、全意識を閉じるはめになるまで落ちるとは。
ゾロも思わなかった。

この後。
一本めの航海を。
ほとんど眠ってすごしたのは、そのせいである。

−完−





【独り言】
Hって、どうやってうまく書くんでしょう。
初めてのSEX、はしょってしまった。
ダメダメですね。
題名の太陽はルフィのことですv
2001.10.10.ten.



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