2月バレンタイン

「ゾロ〜っ。チョコくれっ。」
「・・・は?そんなもん持ってねぇよ。」
「だから、買ってくれ。」
「なんだ、欲しいのか。それならサンジか、ナミに言えよ。 キッチンに無けりゃ、明日上陸したときにでも買ってくれるだろ。」
ブンブンブンッとルフィは首を振った。
「ちがうっ。ゾロから欲しいんだ。チョコ。」
「イヤだね。」
むくりと起き上がって伸びをするゾロを、ルフィは頬を膨らませたまま 見上げた。
「おまえのコトだ。どうせ、バレンタインだ、なんだって言い出すんだろ。」
「なんだ、ゾロっ。知ってたのか?バレンタイン。」
失礼な・・・とは思ったが、日ごろの世間のズレを思うとしょうがないかと 小さくため息をゾロは吐いた。
「あのなぁ。男から男にチョコ渡してどうすんだよ。意味ねえだろ。」
「そんなコトねえっ。意味ならあるぞ。」
ふんぞり返って、ルフィはきっぱりと言い切った。
「ゾロが俺に何の抵抗も無く告白できる日だ!」
それを聞いてがっくりとゾロは肩を落とした。
「・・なんで、俺がお前に告白しなくちゃならねえんだよ。」
「決まってるだろ。ゾロが俺に惚れてるからだ。」
ジッとゾロを見つめたまま、ルフィは言った。
「普段照れくさくて言えなくても、こういうイベントなら言えるだろ?」
「だから、なんで俺がそんなコトしなくちゃならねえんだって。」
「何度も言わせんな。ゾロのために言ってんのに。」
まっすぐに全てを見抜くような瞳で。
射抜かれて、ゾロは黙り込んだ。
だが、すぐに言葉を吐き捨てた。
「冗談じゃねぇ。俺は絶対にてめぇにチョコなんか買うか。」
そうしないと・・・挫けてしまいそうになる。
「そんなにバレンタインしたいなら、てめぇがチョコ買ってこい。」
ルフィはその言葉に顔を輝かせた。
「おう、そんじゃ俺がゾロにチョコやっていいんだな?」
しまったといったゾロの顔は、この際無視しておく。
「明日覚悟しろよ。ゾロ。」
うきうきと、ルフィは船首へ登った。
「だ、誰が受け取ると言ったっ?!」
背後で怒鳴るゾロの声も無視してしまう。
どうせ・・・何を言ってても。
「ゾロはチョコ受け取ってくれるもんな。」
明日はどう言ってチョコを渡そうかと、ルフィは楽しげに 考え始めた。

伝えられる時には・・・
ちゃんと想いを伝えよう。

Happy バレンタイン。




【独り言】
バレンタインにて。ホワイトデーは書くつもりなし(笑) 2002.4.3.ten.





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