5月新緑


新緑に初夏を香る。
風に季節を感じつつ、ゾロは目を細めた。
目の前に広がる海と、その背中から目が離せない。
思わず眩暈がして、ゾロはきつく目を閉じた。
まぶたに焼き付く、その背中。
遠く届かない、そんな気がふとして、苦笑いが浮かぶ。
目指すところは似て非なるもの。
届く届かないそういうものではないのだ。
ふと、太陽が翳った。
目の前に広がる笑顔に、しぶしぶ渋面を作る。
「何してやがんだ、てめえは。」
「ん、なんか、ゾロがイイ顔してたから。チュウしたくなった。」
「・・・今度したら斬るからな。」
「チュウくらいで怒んなよ!」
すたすたとまた定位置まで戻るルフィの後ろ姿に、
小さくゾロは笑った。
夏より涼しく、
春より、うららか。
そんな日差しだから。
殴りそびれたのは、そういう理由にしておこう。




【独り言】
4月がルフィだったので、5月はゾロ。
今のTOPSSはナミです。なんとなく。そんな気分。
2001.6.5.ten.





戻る