6月梅雨


雨が滴る甲板に。
何が楽しいのか、はしゃぐ二人がいる。
いいえ、一人は仕方が無しに付き合っている。
足を滑らして海に落ちたらあぶないとか。
なんだかんだと自分に理由をつけて
あそこに立っているのだけど。
気付いていないのかしら。
ひどく優しい楽しげな顔をしていることに。
もう少し素直になったらいいと思う。
いいと思うのに、ひどく胸が締め付けられて、
小さな窓から顔を逸らした。
ちっとも進まない海図を丸めて。
立ち上がって、ふともう一度甲板に視線を戻すと。
アイツの首にぎゅっと抱き付いたルフィと目が合った。
にぃ・・・・っと。
口元に笑みが浮かべられる。挑戦的な・・・視線。
そっと目を逸らして。
ぎこちなく笑みを浮かべた。

わかっているわよ。
別にそんなんじゃないんだから。
私にはそんなことをしている暇は無いの。
誰も取らないわよ。
ただ・・・夢を見ていたいだけ。
夢を・・・
夢ぐらい・・・

きつくなる雨音から。
逃げるように。
ゆっくりと部屋へ降りていった。
当分は雨。
時化に備えて航路を考えないと・・・




【独り言】
2001.7.1.ten.





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