9月月見


丸い月は血が騒ぐ。
ルフィはそっと目を閉じた。
閉じていてなお、その光がまぶたを突き抜けてくる。
「あーあ。早くゾロも、落ちればいいのに。」
一人だけこんなに好きなのも不公平だ。
理不尽なことを考えて、ルフィは苦笑いした。
ゾロを困らすようなことをあまりしたくは無いのだが。
諦めきれないから、うんと言ってくれるまで。
言い続けるしかない。
でも、本当は、ひどく怖いんだ。
船を下りると言われたらどうしよう。
本気で嫌悪感を抱かれたらどうしよう。
柔らかい色を宿したあの瞳に。
拒絶されたらどうしよう。
強くまっすぐなゾロが、好きだ。
決して曇らないゾロの瞳が好きだ。
きっぱりと夢を語るゾロが好きだ。
柔らかい月の光は。
まるでゾロのようだと、ルフィは小さく笑った。




【独り言】
月夜の独り言。
2001.10.10.ten.





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