風が徐々に秋を告げる。
ゾロは透き通るような秋の空を眼を細めて眺めた。
広い海を見渡す限り、今日も海賊にも海軍にも出会いそうに無い。
大きくあくびを一つ。
皆に言わせると、春夏秋冬季節に関係なく寝ていると怒られるが、
こうも、気候がいいと、眠くなってくる。
もう少ししたら、甲板で眠る時間も短くなってしまう。
一つ伸びをして、ゾロは足を投げ出して、マストにもたれて
眼を閉じた。
眠りに落ちる寸前聞こえた足音。
眠いのをガマンして片目を開けると、足を枕に、横たわる人影。
転がる麦わらを片手で拾って、ゾロは顔に被った。
言葉は何もいらない。
寝心地のいいように動くルフィの頭をゾロは軽くこついた。
そのまま、眼の上に手の平を乗せると、
押し留めていた眠気に、身を任せた。
「おやすみ、ゾロ。」
秋風が、小さな言葉を睡魔より早く伝えてくれた・・・
「・・・・。」
それに返事をすることはできなかったけれど。
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