ぼんやりと空を眺めていた
ゾロはルフィの足を蹴飛ばした。
「おい、起きろ。」
「んあ?」
寝ぼけているルフィに、苦笑いして、ゾロはまた空を眺めた。
年末から宴会を始めて、夜中に皆ダウン。
ゾロは一人でのんびりと酒を傾けていた。
夏島から出発したせいか、気候は良く甲板で寝ていても全然平気だった。
「起きろって。見逃すぞ。起こせと言っただろうが。」
「何がぁ?」
「初日の出。ほら、もう顔だしはじめ・・・」
「忘れてたっ。おおおっ、太陽だ。」
目を輝かせているルフィを見るとも無しに見ていると、
ルフィが大きく息を吸い込んだ。
「・・・俺はっ。海賊王になるぞぉっーーーー。」
突然叫ぶルフィに、ゾロは肩を竦めたが、その後の言葉に口に含んだ酒を吹き出した。
「んで、ゾロに好きだと言わせるぞっーーーーーー。」
「ばっ・・・・何叫び出すんだっ。」
「何って新年に向けての抱負だ。」
「んなこと、抱負にすんなっ。ったく。」
船首のメリーの首によじ登ったルフィは、ゾロを振り返ってニッと笑った。
「絶対、ゾロは俺を好きになる。な! ゾロっ。」
「バーカ。」
ならねえよ。とは言わなかった。
いや、言えなかった。
スキなだけなら、とっくに囚われている。
酒を飲もうとして瓶が空なのに気付くと、ゾロは小さく苦笑いして
目を閉じた。
「あっ、ゾロ。人を起こしておいて、寝るのかっ?!」
「ご来光も見たしな。見張りよろしく、ルフィ。」
まだ囚われていることに、気付きたくない。
気付いている事実からそっと目を閉じて。
ゾロはそっと祈った。
・・・・もうしばらくは、このままで。
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